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歯の血流検査

歯の中に血がめぐっているかがわかります

歯のケガをしてしまったとき、しばらくすると歯の色が変わってしまうことがあります。歯医者さんから、「歯の神経が死んでいるかもしれない」と言われて、不安になったことがあるかもしれません。そのような時のために、最近ではケガをした歯の中(歯髄、“歯の神経”といい習わされています)が健全なのか調べる新しい検査方法が研究されています。

健康な人の体には、心臓から新鮮な血液が流れてきて、体のすみずみまで栄養を送っています。歯も同じです。歯の中心部には「歯髄」といわれる大事な部分があり、健康な歯には、心臓から歯髄へ血液が流れてきているのです。歯髄は歯の硬い部分に囲まれていてとても狭いですが、重さ当たりの血流量は骨格筋や脾臓よりも多く、脳の血流量に匹敵するくらいであることがわかっています。歯に流れてきた血液は、むし歯菌が侵入してきた時や歯のケガをした時などに感染から守り、免疫力を高めてくれます。また、歯髄には神経線維もあり、痛みを感じることで歯への危害から守る役割もしています。
ところが、ケガによって揺さぶられた歯、抜け落ちて再植したような歯では、血液の流れが悪くなり、歯髄が死ぬ状態(壊死)になることがあります。歯髄は子どもの若い歯を丈夫に完成させていく役割を担っているので、なるべく温存したいですが、歯髄が壊死すると、歯根の成長に悪影響が出てしまう場合があるので放置できません。他方で歯髄が壊死していると判断したら歯髄を取る治療をしますが、歯の構造が弱くなり歯が割れやすくなります。そのため、歯髄の診断は正確さが求められています。

現在、歯髄の健全さを調べる方法としては、歯に弱い電気を流して感じるかどうかを調べる方法が主流です。感じたら患者さんに教えてもらうのですが、痛みや不快感があり、小さなお子さんでは正しく答えられないことがよくあります。
当教室ではこれに変わる新しい診断法として、歯髄の血流を測る検査法を行っています。この検査法では、歯の裏側から発光ダイオード(LED)の光を照らして、歯の表側に透過してきた光を調べます。血液が流れている歯では、歯へ送られる血液量が心臓の鼓動に合わせて増えたり減ったりするため、透過してきた光の量も変化して、「歯の脈波」として観察できます。一方、血流のなくなった歯には、脈波は検出されません。この検査では歯に光を当てるだけなので、検査の時は痛みが全くありません。LEDは信号や交通標識、植物を育てる時にも使われるようになりました。医療機器にも広く使われている安全な光ですから、小さいお子さんでも安心して検査を受けることができます。